減価償却はなぜ必要となったのか?【減価償却の歴史】

会計

簿記を勉強していると目にする減価償却という単語。

固定資産の費用を数年に分けて負担させるという考え方ですが、なぜこのような考え方が生まれたかご存知でしょうか?

今回は減価償却が生まれた背景を説明していきます。

初めて減価償却が使われたのはイギリス鉄道会社

減価償却が初めて使われたのは19世紀イギリスの鉄道会社です。

この時代の鉄道会社は株式会社として多くの投資家から資金を調達していました。

これは当時、事業としての前例がない鉄道会社がその初期投資を銀行などからの借入金だけでは賄うことができなかったためです。


当初は自分が住む地域に鉄道を走らせるため、社会貢献の意味で投資をする人が多かったそうです。

「鉄道会社の株は儲かる」という話が広まるにつれ、次第に株で儲けるために投資する株主が増えていきます。

鉄道会社が抱えていた問題

株で儲けたい株主は鉄道会社の株を持っていることで得られる配当金を目当てにしています。

鉄道会社も株主の期待に応えるために多くの配当を払いたいと考えますが、配当の支払いに不平等が生じるという問題を抱えていました。

この問題の原因となったのが、鉄道会社の特徴でもある大きな固定資産です。

列車、土地、駅舎、レールなど鉄道会社は多くの固定資産持つ必要があります。

初期投資のほかにも新規に固定資産を購入する必要もあったはずです。


減価償却がない時代、その投資のための支出はその年の収入から引くという計算をしていました。

この結果、投資をした年は赤字、投資をしなかった年は黒字となり年ごとの投資の大きさによって配当に差が生まれてしまいました。

このように、年ごとの固定資産の購入費によって、株主が目当てにしている配当の額が毎年大きく増減する可能性があったのです。

問題解決のために導入された減価償却

この問題解決のために適用されたのが減価償却という考え方です。

支出 (投資)を支出した期のみに負担させるのではなく、数年かけて費用として各年に負担させることで費用を平準化させることを可能としました。

減価償却によって毎年の収支だけでは判断できなかった利益の管理が容易となったのです。

少し分かりにくい表現となってしまいましたが、次の項でさらに説明していきます。

減価償却登場以降の会計

減価償却が登場したことでそれまでの収支中心の考え方から利益中心の考え方へと移行していきます。

収支と利益はそれぞれ次の式で表されます。

収支=収入ー支出

利益=収益ー費用

減価償却導入以前はその年に買ったものはその年の収入から引くしかなかったため、鉄道のように事業を始めるまでに大きな初期費用が必要な場合、毎年の儲けを正確に把握することができませんでした。

減価償却が生まれるまで一般的であったのが、モノを仕入れてモノを売り、手元に残っている金額を儲けとしていた現金主義の考え方です。

収支の考え方では固定資産を持ち、毎年の持続的に収入を得る鉄道会社のような事業では正確に毎年の稼ぎを計算することができなくなりました。

そこで減価償却を導入し、得られた収益からその収益を得るためにかかった費用を引いた金額を儲けとする発生主義の考え方へと変化していきます。

産業革命以降の機械でモノを作る時代にも、機械や工場という固定資産を持つ多くの会社に減価償却は受け入れられ、発生主義の会計は今日まで至っています。

まとめ

鉄道会社で減価償却が導入された背景について解説してきました。

私自身、なぜ減価償却という考え方が必要であったのか知ったことで減価償却についてより理解が深まりました。

今回記事を書くにあたり参考にした会計の世界史という本です。

減価償却以外にも会計がどのように進化してきたのか学ぶことができます。

興味のある方は是非読んでみてください!

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